STUDIO PALM TREE( スタジオパームツリー )

Column
コラム

「肛門閉鎖」で生まれた犬

あまりこういう表現はしたくないですが、

動物を「商品」としか見ていない。「商品」として利用価値がなければ捨てる。

世の中にそういう流れがあるのは残念ながら否定できません。
今回のコラムは、その悲観的な流れに一筋の光を感じる話です。

私の自宅近所に愛犬家の家族がいらっしゃいます。
すでに一匹、この子は健康な子ですが、飼っているのですが昨年近くの愛護センターで自力では立ち上がることさえできない栄養失調の子を引取り、見事に成長させた実績のある方々です。
その家族が今回はタイトルにあげた「肛門閉鎖」の子を引き取ったという話を人づてに聞きました。「肛門閉鎖」というのは、生まれつき肛門がない病気です。

私は獣医学の専門家ではないのでうかつなことは言えませんが、聞くところによると、直腸が途中でなくなり肛門まで届いておらず、またそもそも肛門自体、存在していないようです。 そのため便は腸にそのまま滞留し、溜まった便は尿管からかろうじてほんの少しずつ排出しているようです。
こういう子は肛門には異常がありますが、食欲はあります。しかし、排出する量が足りていませんから、いずれ不全を起こし、近いうちに死に至ることは必然的です。

この子の奇病も数奇ですが、どうしてこの子が愛護センターにいるか。
残念ながら、容易に想像がつきます。

愛護センターには保護犬の引取りを申し出る方が日々いらっしゃるようですが、この子だけは生まれつきの奇病のため、飼養する自信がないとして、見送られ続けたようです。見送り続ける人が連続した後、私の自宅近所の方が、引取に手を挙げたようです。
まさに尊敬に値する行為です。
引取りされた子はすぐに病院に行き、精密検査をしたあと、本来の肛門付近に穴をあけてそれを直腸につなぎ、いわば人口肛門を作ります。この人口肛門を作れば便を排出できるわけですから、一安心と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
あくまでも人工的なものですから、肛門は排出するためのただの穴に過ぎません。
「括約筋」という肛門を取り巻いて、その収縮と弛緩により内容物の排出を調節する筋肉が成長できないのです。

すると、どうなるか。

一生、便は垂れ流しになる可能性があるということです。
ご近所の方は、それをわかっていながら、引取されました。

世の中にはこういう方もいらっしゃるのです。

この子を捨てた方。
どういう事情があるか知りませんが、このメッセージが届いていますか?

シェアする

フォローする