STUDIO PALM TREE( スタジオパームツリー )

Column
コラム

猫カフェを開業する方法

このところ街を歩いているとペット関連のお店が増えて来たと思いませんか?

食べ物屋さんがあった店舗にある日突然「閉店のお知らせ」の紙がシャッターに貼られ、何が出来るのかと気にしていると、ペットホテルが開店する場面に最近出くわしました。

他にもペットサロン、ペット美容室、ペット用品専門店など、以前と比較するとペット関連のお店が本当に増えた印象です。

中でも最近よく目にするのが、タイトルにあげた

「猫カフェ」

です。

少し前まで、

「猫カフェって何?」

「ドックカフェとどう違うの?」

ってレベルの認知度でしたが、今や

「猫カフェ」

という業種は、すでに一般名詞に近くなっている気がします。

私の事務所によくある相談も、

猫カフェの開業を考えているんですが、どうしたらいいんですか?

という問い合わせです。

相談を持ち掛けて下さる方は、猫に対する思い入れが様々であり、また様々な事情もあり、一概にまとめることは難しいですが、今回は、猫カフェ開業までの流れを一般的なケースをもとに書いてみたいと思います。

目次
そもそも「猫カフェ」とは

「猫カフェ」を端的に説明としますと、店内に放し飼いにされている猫を眺めたり、触れ合ったりしながら、店内の一定のスペースで喫茶、食事も楽しむというサービスです

日本では2004年に大阪府で初の猫カフェが誕生したとされています。営業の形態や料金体系は店舗によって異なりますが、時間料金+1オーダー制を採用する店舗が一般的です。

時間料金は地域により異なりますが、1時間1,000円~1,500円の基本料金をベースに、延長した場合に時間に応じて割増料金を課す仕組みです。

1オーダー制はドリンクを必須的に注文を求める店舗もあれば、オーダー制を採用せず求められたら提供できる準備をしている店舗、あるいはかなり本格的な料理を提供する店舗もあり、その辺りは店のオリジナリティが発揮されるところですが、「猫カフェ」の売り上げとしては結局のところ、

時間料金(一種の入場料) + ドリンクor食事代

となりますので、上の数式に客数を掛けた金額が日々の売上と言うことになります。

開業を考えている方にとって、「猫カフェ」を開業して生活していけるのかどうかはおそらく最も気になるところかと思います。

その点については「生活していけるほど、儲かるの?」の項目で書かせて頂きます。

ところで「猫カフェ」の営業時間についてですが、動物愛護管理法という法律でペットショップなどが犬や猫を展示できる時間は午後8時までと定められています。が、猫カフェだけは午後10時まで営業を認める例外措置がとられてきました。「猫カフェ」だけ午後10時とするのはおかしいということで数回改正の議論がされましたが、依然として午後10時までの営業は認められています。

ですが、大概の店舗は午後8時に閉店されるところが多いように見受けられます。

これは「猫」たちへのケアもさることながら、働かれる方の労務的なことも多分に影響しているかと思われます。

そういう「猫カフェ」ですが、猫好きの方にとってはこのサービスはまさに憩いのスペースかと思います。

ただ眺めたり、触れ合ったりするだけでしたら動物園やふれあいパークと同じですが、「猫カフェ」がそれらと異なるところは、同じ店舗内で喫茶、食事の提供も受けるということです。
そのため、他のペット関連ビジネスが動物愛護管理法の登録等の手続きのみで足りるところ、「猫カフェ」に関しては、それ以外に衛生面から保健所の許可も必要とされます

そのため「猫カフェ」を開業する場合、

  • 動物愛護管理法の登録等の手続き
  • 衛生面からの保健所の許可

を同時に進行する必要があり、また開業するにあたり、銀行から融資を必要とする場合はその作業も必要となりますので、開業にむけてのスケジュール調整に神経を配る必要があります。

では「猫カフェ」を開業する場合、何か特別な資格が必要となるのでしょうか?

その点については、次の項目で取り上げたいと思います。

「猫カフェ」を開業するのに資格は必要なの?
「猫カフェ」を開業するには、
  • 動物愛護管理法の登録等の手続き
  • 衛生面からの保健所の許可
大きく二つの要件を満たす必要があると書きましたが、必要となる要件をそれぞれを満たす「資格」が必要ということになります。
尚、追い追い記載しますが、ここでいう「資格」とは一般的なイメージの国家資格、民間資格という厳密な意味での資格ではありません。ただ、「資格」と記載する方が分かりやすいかと思いますので、便宜上使わせて頂きます。
その「資格」ですが、
  • 動物愛護管理法の登録等の手続き」に関しては、動物取扱責任者
  • 衛生面からの保健所の許可に関しては、食品衛生責任者
の二つが必要となります。
  • 「動物取扱責任者」とは

「動物取扱責任者」と言うと難解そうに聞こえますが、国家資格というわけではなく、一定の条件を満たすことにより、なることが出来ます。

地域により若干異なることがありますが、一般的には以下の通りとなります。
  1.  営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること。
  2.  営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校法人その他の教育機関を卒業していること
  3.  公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。
このすべてが必要という訳ではありません。
いずれか一つでも満たせばOKです。
  1. については、動物愛護管理法に基づく動物取扱業の登録(届出)をした事業所において、6ヶ月以上勤務し動物を取り扱った実績があればOKです。この実績は正社員である必要はありません。パート、アルバイト等でもOKです
  2. については、営もうとする動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校法人その他の教育機関を卒業していること。つまりは、ペット関連の専門学校等に通い、卒業したという実績です
  3. については、下記の資格試験を合格したことにより認められる要件です。他にも試験はありますが、ここでは「猫カフェ」対応可能分のみに限定させて頂きます。
  • 愛玩動物飼養管理士
  • 家庭動物管理士(H27年に家庭動物販売士から名称変更)
  • 愛犬飼育管理士
  • Jaha認定家庭犬しつけインストラクター
  • トリマー
  • 動物看護士
  • 家庭犬訓練士
  • 動物介在福祉士
  • 動物看護士(3級)
  • 愛護動物取扱管理士
  • 動物取扱士(3級)
  • 小動物飼養販売管理士

以上の資格試験の中からいずれかを選んで頂き、一つに合格すれば要件を満たすことが出来ます。

 つまり「動物取扱責任者」とは、
  • 以上の1から3のいずれかの要件を満たした方を、
  • 第一種動物取扱業(「猫カフェ」開業はここに該当します)の申請をする段階において、
  • 「動物取扱責任者」として選任することにより(本人でもOKです)、
「動物取扱責任者」になるということです。

「動物取扱責任者」という国家資格があるわけではなく、試験に合格してこの資格を得るわけでもありません。

一定の条件にある方を「動物取扱責任者」として第一種動物取扱業の申請書に記載することにより、その人が「動物取扱責任者」になるということです。
たとえば私は、行政書士の資格以外に「小動物飼養販売管理士」という資格を持っています。私が何かの縁で「猫カフェ」を経営することになった場合、「小動物飼養販売管理士」は「動物取扱責任者」になる要件を満たしている資格ですので、第一種動物取扱業の申請書に私の名前を書くことにより、私はその店の「動物取扱責任者」になるということです。
ちなみに「動物取扱責任者」は事業所ごとに専属の動物取扱責任者を常勤職員者の中から1名以上配置することが義務付けられています。他店舗との兼任は不可です。
  • 食品衛生責任者とは

食品を扱う店舗を営業する場合、営業許可施設ごとに食品衛生責任者を置かなければなりません。「猫カフェ」もドリンク・食品を扱う性質上、「食品衛生責任者」の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者として資格が認められている方は以下の通りです。

  1. 栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者
  2. 食品衛生管理者になる資格を有する者(医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師あるいは医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者)
  3. 食品衛生責任者養成講習会修了者

1、2は一定の資格を有していることにより、有資格者として認められる方です。この方々は改めて「食品衛生責任者」の資格を得る必要はありません。

3の方は、1、2の資格を有していない方が、講習会を受講することにより有資格と認定される方法です。講習は一日かけて行われますが、講習会を受講するとほぼ100%の方が取得できるようになっています。

以上、「猫カフェ」を開業するおいて必要となる「資格」は、

  • 動物取扱責任者
  • 食品衛生責任者

になりますので、申請される段階になりましたら、あらかじめご準備ください。

「猫カフェ」を開業するのに必要な資金は?

では、次に「猫カフェ」を開業するのに必要な資金について、ご説明いたします。

最初にお断りしておきますが、開業資金がいくらあれば安全か、いくら用意すれば順調に運営できるか。

そういう具体的な金額というものはありません。

私がたずさわった案件でも、自己資金50万円程で起業を決意された方もいれば、自己資金を200万円以上お持ちであるにもかかわらず、さらに銀行から200万円近い融資を受け経営基盤を強固にした方もいらっしゃいます。

もちろんいずれの方も、現在も堅実に運営されています。

少々乱暴な言い方をさせて頂くと、

資金がないならないでスタッフを雇わず、店舗内も極力自力で工作し、経理等の付帯作業もオーナー自らで努力し、アットホーム感を前面に出して純朴な空間を演出する。

逆に、資金が豊富であるならスタッフを多く雇い、内装も専門業者に依頼し、調度品にもこだわりをみせて、来店客に極上の時間を過ごしてもらう。

いずれが良いとは言えません。

店舗独自、オーナー独自のお考えで設計して頂き、それで運営が回るのなら、とりあえずは間違ってはいないということです。

ただ、売上とは関係なく、下記は月々の固定費として支出します。

  • 賃貸料
  • (不動産)管理費
  • 電気代
  • 水道代
  • 光熱費
  • 食材費
  • 猫の餌代
  • 猫の衛生用品
  • 人件費

賃貸料、人件費等は他のカフェでも同じですので、ある程度察しがつきます。

意外と負担になるのは、「猫の餌代」「猫の衛生用品」です。

ご自宅で一頭、二頭飼うのは違い、「猫カフェ」の場合は10頭から20頭近い猫を一気に飼養することになります。ちなみに、10頭近い猫を常時飼養している店舗で、両方合わせて月平均5万~7万円ほどはかかるという声を聞きます。

以上は、開業してからの支出となりますが、開業時は、

  • 店舗を借りる際の保証金、敷金
  • パソコン、電話、FAX、コピー機などの事務用品
  • ドリンク・食事を提供する場合の調理器具
  • ソファ、テーブル等の調度品
  • 内装費
  • 広告宣伝費

などを想定する必要があります。

地域により、またご事情により大きく差が出るかと思いますので、このリストをもとに一度試算してみて下さい。

一概に安全な金額を言い切るのは大変難しいですが、開業資金として、

  • 150~100万円程度であれば、まずは堅調
  • 100~50万円程度であれば、慎重な運営が必要
  • 50万円以下であれば、開業はもう少し見合わせ

このように判断して頂ければと思います。

どこで開業すればいいの?

「猫カフェ」に限らず、店舗は場所が命です

どんな名店でも場所を間違えば、堅実なビジネスは期待できません。

中には「味」に惹かれて人跡未踏のような場所まではるばる足を運んでもらえるケースもありますが、それはレアなケースです。それを期待するわけにはいきません。

したがって、出店前の市場調査は慎重にし過ぎるほどやってください

と言うのが、私が相談を持ち掛けられた際の返答です。プロじゃあるまいし、そんなに出来ないというのであれば、こちらでお引き受け致します。それほど綿密にする必要があります。

では、何から取り組むか。

一例として、次の流れが考えられます。

■ 店のコンセプト作り

  • どの客層をターゲットにするか。
  • ターゲットにする客層が喜ぶサービスは何か。
  • ターゲットにする客層は何を求めて来店するか。
  • ターゲットにする客層の予想来店頻度、予想消費額、予想来店数はどれほどか。

■ 出店候補エリアの検証

  • ターゲットにする客層の見込めるエリアの選定

たとえば、ターゲットを地元の猫好きの女性に設定した場合、出店候補地はどこになるでしょうか?

ビジネス街でしょうか?

学生さんの多い町でしょうか?

郊外のニュータウンでしょうか?

いずれも違いますよネ。

答えは地元の駅周辺及び地元の商店街界隈です。

では、地元の駅周辺及び地元の商店街界隈を選定するとして、具体的にエリアを絞り込む際、何から判断すべきでしょうか?

資料としてまず参考にしたいのは、各鉄道会社が公表している最寄り駅の乗降客数です。

特急、急行電車等の種別が停車する一見大きな駅でも、改札口を通る人の数がそれほど多くない駅があります。人が多く感じるのは、乗降するのではなく、単なる乗り換えのための駅だからです。こういう駅は要注意です。町に人が降りてくれないと商売にならないからです

次に確認しやすいのは、各行政機関等で公表している統計資料です。

特に注視すべきは、男女比率、年齢比率をあらわしたデータです。と言うのも「猫カフェ」の利用者は圧倒的に女性が多く(80%程度という声もあります)、またその女性の中でも30歳~50歳にかけての方の利用が顕著です

その方々の多いエリアをまずは資料で把握し、条件に見合った地域を絞り込む作業から始めます。

■ 出店候補地に出向き現場検証

資料だけではわかりません。実際に赴いてみると「それほどではなかった」「資料では今一つだったけど来てみると第一候補になった」など、思わぬ発見があるはずです。事前に調べた資料をもとに、かならず現地に赴く必要があります。

現地に赴いた際、確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 人の流れを確認すること。

駅から徒歩で帰宅する流れが大半か、あるいはバスを利用して帰宅する流れが大半か。

バス利用が大半の場合、駅周辺及び商店街は通過され、この界隈に人は駐留しない恐れがあります。

  • 昼間人口と夜間人口の差を確認すること。

いわゆるベットタウンの場合、昼間と夜間の人口差に格差があります。地元で商売する場合、夜間人口は売上につながりません。

  • 地元に有力店舗(スーパー、量販店等)があるか。

いわゆる「基幹店」の存在です。基幹店の周囲には自然と人が駐留します。特に昼間に駐留している人たちは、「猫カフェ」にとってはターゲットとなり得ます。

  • 地元スーパーで実際に買い物し、買い物客、店員を確認する。

これは少しイヤらしいやり方ですが、運営のためには極めて大事なリサーチです。

何を確認するかと言えば、どういった住民層が住んでいるかです。

スーパーの商品の品ぞろえ、価格、陳列、店員の身なり、買い物客の身なり、レジでの対応、サービスコーナー等があれば店員に問い合わせしている客の態度・言動など、まさに地元の空気を感じ、そういう場所で自分たちが商売して行けるか。

それを生で感じるわけです。

地元のスーパーというのは、地域の生の姿が如実に現れている場所です。リサーチ対象としてこれほど参考になる場所はありません。

■ エリア検証ののち、物件探し

エリアが確定しましたら、実際に物件探しに入ります。

選んだエリアで商売した場合、どれほどの売上が計算でき、どれぐらいの支出であれば運営できるかをあらかじめ試算した上で、ネットあるいは不動産業者に直接問い合わせなどして物件を確定して下さい。

物件候補が決まったあとも、さらに町内の調査は必要です。町内の情報は不動産業者が多く持っているか思います。また、町内でキーマンとなるような方(俗に言う、声の大きい方ですが)の情報も先につかめるようでしたらあるに越したことはありません。

生活していけるほど、儲かるの?

そして、一番気になるポイントです。

苦労して「猫カフェ」を開業したものの、果たしてこれで生活していけるのか?

本文に入る前に、先に言っておきます。

「猫カフェ」を無事に開業されて運営されている方が私の周囲には何人かおりますが、廃業、閉店された方は今のところいらっしゃいません

もちろん単月赤字、このところ下降気味などという声は耳にします。

「猫」ブームがもう下火になりつつあるという悲観的な声もあります。

ですが、そういう声は何も「猫カフェ」に限った話ではありません。

商売をしていく上で、浮き沈みは付き物ですし、逆に売り上げが急上昇する店舗ほど、急降下しがちです。

ここまで長文を書いてきて、この長文にお付き合いいただいた方にリアルな現実をお伝えするとすれば、

儲かるわけではないけれど、生活は出来る商売です

とお答えさせて頂きます。

まとめ

以上、長々と「猫カフェ」開業について書かせて頂きました。

「猫カフェ」を開業して、「商売」という側面に重点をおいてのブログでしたが、最後にもっとも大事なことを書かせて頂きます。

「猫」は私たちを癒してくれる愛おしい存在です。

欠かせない存在といっても過言ではありません。

しかし、「猫」は私たちの道具ではありません。

「猫」にも「」があり、その限られた「」を全うする権利があります。

「猫カフェ」はその「命」を預かる商売です

「猫カフェ」を開業するということは、商売の側面より、むしろ「猫」たちの「命」を守る。

その側面を重視すべきかと思います。

このブログを読んで頂き、「猫カフェ」開業に向けて決意を固めた方がいらっしゃいましたら、最後にそのことをメッセージとしてお伝えしたいと思います。

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